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執筆者の写真茂木 敦史

トラックドライバーと防災5

トラックドライバーの皆さんは、日本の物流の担い手として緊急時や災害時などを含め、さまざまな場所で活躍されるかと思います。

緊急時の通行の際に注意しておきたいことをまとめました。

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緊急・救援輸送「出動車両」の優先事項

緊急・救援輸送を行う車両は、一刻も早く目的地に到着し、業務を果たすことが求められるため、次のような優先事項が与えられています。

緊急交通路の通行が可能

緊急・救援輸送「出動車両」には、一般車両の通行が禁止されている緊急交通路の通行許可や、(緊急交通路が有料の場合は)通行料金が無料となる場合もあります。

その際、一般車両と区別するため、緊急通行車両を証明する標章(ステッカー)と証明書が必要となります。

緊急通行車両の標章(ステッカー)

緊急通行車両を証明する「緊急通行車両標章」および「緊急通行車両確認証明書」は、都道府県知事か公安委員会が交付します。

緊急通行車両の事前届出

警察庁は、応急活動の事務迅速化を目的に「緊急通行車両等の事前届出・確認手続等運用要領の制定について」を、全国警察本部に発出しています。

それを受けて全国警察本部では、防災関係機関である指定地方行政機関および指定地方公共機関などに対し説明会などを開催し、緊急通行車両事前届出の普及をはかっています。

事前届出車両の登録

都道府県等が災害応急対策活動上、「災害応急対策を実施するために使用される計画がある車両である」と判断すれば、都道府県等と運送事業者が協定を結んで公安委員会に申請することで、事前届出車両として登録することができます。

届出車両には、証明書(緊急通行車両等事前届出済証)が交付され、緊急・救援輸送活動に従事している場合、検問所などで証明書を携帯していれば、前記の標章(ステッカー)、証明書が交付されます。

他地域から被災地に向けての輸送

緊急・救援輸送は、輸送範囲によって「他地域から被災地に向けての輸送(物資調達の輸送)」と「被災地内での配送(物資配送の輸送)」に大別されます。

ここでは「他都道府県等から被災地の物資集積所へ向けて行われる救援物資輸送」の注意事項について示します。

この輸送は、大量の荷物を運ぶことが多いため11トン車など大型車両による輸送が中心となります。

出動にあたっての準備

他地域から被災地までの輸送は、長距離輸送となる場合があり、被災地周辺の交通渋滞により長時間にわたる輸送となる可能性もあります。

そのため次のような準備が必要です。

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[出動車両について]

燃料は満タンに

被災地周辺では、燃料の確保が困難な場合もあります。

満タンにするなど事前の対応が必要です。

車両の整備状況をチェック

出動車両が、車両故障を起こしたら十分な役割が果たせません。

日頃から整備状況には気をつけておきましょう。

[ドライバーの携帯品について]

出動時は、いつ帰れるか分からないという心構えで、次のものを用意して出動しましょう。

  1. 下着

  2. 懐中電灯

  3. 緊急医薬品

  4. 作業靴

  5. 作業着(ヘルメット、軍手)

  6. 携帯食料品、飲料

  7. 携帯電話等

  8. その他必要なもの

集合場所での注意事項

[物資の積み込み、輸送内容の確認]

集合場所(都道府県の備蓄倉庫や庁舎等)では、都道府県やトラック協会の職員の指示を受け、物資を迅速に積み込み、輸送内容についても確認しましょう。

[緊急・救援輸送ステッカー、横断幕の装着]

出動車両には「緊急・救援輸送車両であることを識別する」ステッカーと証明書、都道府県トラック協会独自の横断幕などが支給されます。

トラック前面もしくは横側(荷台部)に、正しく装着しましょう。

輸送途中の注意事項

[輸送隊を編成する場合]

長距離輸送で、輸送隊を編成して出動する場合は、途中で集合するサービスエリアなどを決めて走行し、はぐれないようにしましょう。

[パトカーが先導する場合]

パトカーや白バイの先導がある場合は、その指示に従いましょう。

[輸送ルートの確認]

災害発生の初期段階では、緊急交通路が刻々と変化することもあります。

被災地に近くなったら、輸送ルートを確認することも必要です。

確認は、被災地都道府県の警察署や交通管理センターへの問い合わせ、全日本トラック協会を通じて全国のトラックステーションで掲示する予定の輸送ルート情報などを利用しましょう。

[危険物を輸送する場合]

燃料など危険物を輸送する場合は、横転や衝突による惨事を引き起こさないように十分注意しましょう(消火器の常備を忘れずに)。

被災地に着いたら

[物資の取り降ろし]

現地の責任者の指示に従い、迅速に荷物を取り降ろします。

また、どこから運ばれてきた、どんな物資であるかを明確に伝えます。

[帰路について]

物資を降ろしたら、すみやかに被災地を離れます。

なるべく渋滞を避ける走行ルートをとり、無理をせず宿泊や仮眠を取りながら事故のないよう帰路につきましょう。

緊急時であればなおさら焦らず慎重に行動できるようにしましょう。

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