トラックを運転する際の心構え
前回もお話しした通り、国内の貨物輸送の約9割をトラック運送が支えており、物流の主役=ライフラインであると言えます。これは言い換えると、物流を支える事業用トラックが、日本の経済を支えていると言っても過言ではありません。トラックの運転者は、貨物運送を支えるという重要な社会的役割を担っているとも言えます。地震などの災害が発生した緊急時には、自治体と連携して緊急・救援輸送を優先的かつ迅速に行うという社会的な使命を持ったドライバーとしての自覚が必要です。そこで今回は、安全なライフラインを提供するために事故を予防すべく、トラック事故の社会的影響についてお話しいたします。
トラックの運転が他に及ぼす影響の大きさ
大きな車体を持つトラックは、大きな事故を引き起こす可能性があり、その被害も甚大です。トラック事故は、被害者を生むだけでなく、事故による交通渋滞など社会に及ぼす大きな影響を生みます。トラックの保有台数は全体の約2割ですが、車両1万台あたりの死亡事故件数は非常に高いことから、トラックで事故を起こすと死亡事故につながる可能性が高いことがわかります。ドライバーひとり一人が常に安全運行を心がけることが大切です。もしも事故を起こしてしまうと、運転者がドライバーとしての地位を失うだけでなく、会社経営にも大きな影響を与えることになります。そればかりか、トラック事故は、運送業界全体のイメージの低下にもつながりかねない影響力を持っています。ですから、常に「事故を起こさない」という信念を持って運行に臨んでください。
トラックによる交通事故発生状況の推移
平成21年に策定された「事業用自動車総合安全プラン2009」(国土交通省)において、平成30年までに事業用自動車にかかわる交通事故による死者数の半減、人身事故件数の半減、飲酒運転ゼロを目標として、国土交通省及び関係機関における、安全体質の確立等、様々な施策の実施やび周知・徹底を図ってきました。その結果、最近のトラックの人身事故の件数と死亡者数は減少しました。しかし、いまだにトラックの交通事故が最も過失が重くなる交通事故が多く発生しており、目標の達成に向けてさらなる安全対策の徹底が必要です。飲酒運転に関しても、減少傾向にあるものの、いまだに100件近く発生しています。物流の主役を担うプロのドライバーが飲酒運転をすることは、決してあってはならないことです。ドライバー同士がお互いに飲みかたに関して注意し合えるような関係性を築けるように努めましょう。
トラックによる交通事故発生状況の傾向
トラックによる人身事故のうち、約半数が「追突事故」です。死亡事故において最も多いのが人との接触事故、次いで追突事故です。人との接触事故のうちのほとんどが交差点で発生しており、歩行者や自転車との接触死亡事故の割合が多いです。特に横断歩道などでは、歩行者や自転車の有無を念入りに確認するなどの慎重な安全確認が必要です。そこで、追突事故を防ぐためにできる具体的なポイントを「トラック追突事故防止マニュアル」より数点ご紹介します。
乗務前点呼で運行管理者とよく話す
十分睡眠をとる
きちんと休む
車間距離をとる、わき見をしない
乗務後点呼では気づいたことを報告する
同僚運転者とよく話し合う
上記を実施し、追突事故を起こさないよう安全な運行に臨みましょう。
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