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執筆者の写真茂木 敦史

災害時の緊急輸送


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9月1日は防災の日です。今年政府では、南海トラフ地震などを想定した総合防災訓練を実施し、訓練には36都道府県で約100万人が参加しました。トラック輸送業界も、防災関係機関と共同で緊急輸送の訓練を行います。そこで今回は、ライフラインを担う運送業界ではどのように緊急輸送体制を敷いているのかを、実際の災害時の対応を含めてご紹介いたします。

ライフラインを守る

物流は、電気、ガス、水道などと同じライフラインのひとつであり、物流の中心的役割を担うトラック輸送は社会的にも重要な役割を果たしています。運送業界では、自然災害などにおける緊急時に国や地方自治体と連携し、緊急・救援輸送を優先的に迅速に行います。平成7年1月に起きた阪神・淡路大震災の際には、震災発生直後から業界をあげて緊急・救援物資輸送にあたり、のべ4万台のトラックが出動し、食料品、日用品、毛布などの救援物資を輸送しました。 この大震災での教訓を生かし、緊急・救援輸送体制の見直しと、緊急時に対応ができる情報通信手段の整備に関する委員会を設け、有事の際の体制を整えました。そして、震災時の緊急通信手段として、衛星携帯電話の導入などの通信手段の整備を図っています。全国の都道府県トラック協会では、それぞれの自治体と災害対策基本法に基づいて災害時における緊急輸送などの協定を結び、万全を期しています。

災害時の緊急輸送例


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平成9年1月、島根県沖の日本海で沈没したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の重油流出事故では、阪神・淡路大震災での教訓が生かされ、日本海沿岸の県トラック協会を中心に、重油回収用の空ドラム缶などの搬送にのべ1,000台を超えるトラックが出動しました。このほかにも、平成10年8月の東日本集中豪雨では日用品、毛布など、平成12年3月の北海道・有珠山火山活動では食料品、日用品のほかJR貨物の代行輸送を行いました。同年6月の三宅島火山活動では簡易トイレやカーペット、同年9月の東海地区の大雨、15年7月の宮城県北部連続地震では食料品、日用品、毛布などを緊急輸送し、同年9月の十勝沖地震には毛布や日用品のほかにも製油所火災消化剤を救援物資として緊急輸送されました。 平成16年10月の新潟県中越地震では、震災発生の翌日に全日本トラック協会に災害対策中央本部を設置し、約3カ月間で全国の都道府県トラック協会からのべ915台のトラックが緊急輸送に出動しました。また、平成19年7月の新潟県中越沖地震においても、発生から3週間で139台のトラックが緊急輸送に出動しています。


平成23年3月11日に発生した東日本大震災は、マグニチュード9.0という世界最大級の地震とともに巨大な津波が太平洋沿岸を襲い、未曽有の大惨事となりました。トラック運送業界では、発災直後から業界をあげて被災地へ救援物資の緊急輸送に取り組みました。国による緊急輸送が1,925両、都道府県による緊急輸送が8,702両となっており、合わせて1万両を超えるトラックが被災地に物資を届けています。発災当初は、物資の集積所から避難所への輸送が滞り、集積所に物資が滞留するなどの事態が生じましたが、国土交通省とトラック運送業界が協力し、民間運送事業者を「物流専門家」として現地に派遣することで、円滑な荷捌きや末端配送が行われるようになりました。 平成28年4月14日に起こった熊本地震においても、発生直後から現在にわたって全日本トラック協会と国が協力し、継続的に支援物資が緊急支援物資輸送が行われています。

最後に

自然災害などの緊急時には普段よりもさらに、トラック輸送は経済と暮らしを支えるライフラインを担っています。長距離の輸送から末端輸送まで、運送業界はとても重要な役割を果たしています。ドライバーの一人ひとりがその社会的責任を認識し、防災の日にかかわらず、日々誇りを持って仕事に励みましょう。

引用参考 緊急・救援輸送

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