トラックから積荷が落下、散乱してしまったとき、どのように対処するべきでしょうか。
トラックドライバーとしての知識を身につけていきましょう。
【事故防止の基本】
積荷の落下・散乱事故は、道路交通に重大な支障を与えたり、他の車、通行者、周辺地域に損害を与え、更にもしも積荷が危険物等の場合は最悪な二次災害を引き起こすので、細心の注意が必要です。
【事故防止の注意点】
安定した荷物の積付けを行いましょう。
荷物の積付位置が左右の片荷にならないように積付けましょう。
特に荷物を高積みし、重心が高くなる場合の固縛は確実に行いましょう。
ロープ等の固縛機材を点検し、切断・破損のおそれがあるものは使わないようにしましょう。
荷物の積付状況に応じた運転を行いましょう。
【二次災害の防止】
万一、車両の横転、積荷の落下・散乱などの重大事故が起きた時は、二次災害の発生を防止しましょう。
万一、危険物輸送中に重大交通事故が起きた時、運転者が行う緊急措置
第1に【可能な初期措置を行う】
着火防止、初期消火、可能な応急の機器復元などの緊急措置を行う。
消火器等を使い発火防止の措置を行います。
発火が小規模の時は初期消火しましょう。
事故現場周辺の二次災害防止に必要な措置をとる。
後続・対向車に危険を知らせましょう。
歩行者、周辺住民に危険を知らせましょう。
第2に【関係箇所に緊急通報する】
次のところに緊急通報しましょう。
警察署(110番)
消防署(119番)
所属会社
次の内容を緊急通報しましょう。
事故発生の、
場所
状況
輸送危険品名(イエローカードから)
(いつ、どこで、なにが、どうした、ケガ人は、私の名前は)
第3に【事故現場を監視し、可能な二次災害の防止をしながら応援を待つ】
やらなくてはならない3つのこと
事故車からの脱出
可能な場合の初期措置
緊急通報
石油類の輸送と消防法
【石油類輸送に関係する「消防法(自治省)」の条文】
第10条(危険物の貯蔵等の取締り)により品名と指定数量が決められています。
第10条3項では危険物としての石油類の取扱、移動に関する技術上の基準を政令で定めるとしています。(下記の政令第27条6項4号)
第13条(危険物の取扱者)により取扱者の資格と業務が決められています。
第16条の2では、タンクローリーの危険物取扱者が行う基準を定めています。(下記の政令第30条の2)
【石油類輸送に関係する「危険物の規制に関する政令」の条文】
第27条6項4号ではタンクローリー輸送における取扱の基準を定めています。
第30条の2(移送の基準)では、タンクローリー輸送時の「移送前の点検」「運転要員の確保」「駐車」「事故時の応急措置」などの基準を定めています。
政令では更に「危険物の規制に関する規則」により細部が決められています。
危険物講習で勉強したことを思い出しましょう。
[種類と指定数量]
危険物第四類である引火性液体
第一石油類
ガソリン、アセトンなど200ℓ以上
第二石油類
灯油、軽油など1000ℓ以上
第三石油類
重油など2000ℓ以上
四石油類
ギヤ油など6000ℓ以上
[輸送に関してきめられていること]
一般事項
「危険物取扱者」免状の携帯
事故発生時の緊急措置と通報など
積載方法
届出以外の危険物の積載禁止
火気厳禁
ローリーのアース
注入方法など
輸送方法
危険物取扱者の乗務
掲示板、標識坂の車体掲示
消化器の設置
パルプ類マンホールふたの点検
駐車場所
危険物漏えい時の消防署への通報など
液化石油ガスの輸送と高圧ガス保安法
【液化石油ガス輸送に関する「高圧ガス保安法(通産省)」の条文】
第2条(定義)では液化石油ガスは35℃以下で0.2MPa(メガパスカル)となるものとしています。
(これはゲージ圧です。大気圧は0.1010MPaです。)
第23条(移動)では「車両」の積載方法および移動方法について、政令に定める技術上の基準に基づくことを規定しています。
【液化石油ガス輸送に関する「液化石油ガス保安規則」の条文】
第48条14号、15号により3t以上のローリー輸送では資格者(移動監視者Ⅲ類により監視することが規定されています。
なお、液化石油ガスを輸送する時は積載量に係わらずイエローカードを携帯することになっています。
第48条には上記①のほか「警戒標の掲示」「40℃以下のガス温度の保持」「移動前後
のガス漏洩の点検・補修」「消火器等の携行」「駐車方法」「事故時の応急措置」「イエロー
カードの携帯(同条18号)」などが定められています。
トラックから積荷が落下してしまったり、散乱した場合は、なによりもまず冷静になることが大切です。
プロのトラックドライバーとして、しっかりと対策を身に付けておきましょう。
Comments