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執筆者の写真茂木 敦史

車両横転を防ぐ

トラックドライバーとして走行中、注意しなければならない点はいくつもあります。

車両が横転する原理も合わせて確認しておきましょう。

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トンネル通過時の注意点

【トンネル入口付近走行時の注意点】

トンネル入口では先行車が速度をおとす場合が多いので追突に注意しましょう。

冬期、山間部のトンネル入口では凍結していることがあるのでスリップに注意しましょう。

トンネル内の照明に目が慣れるまでに数秒かかるので車間距離をとりましょう。

【トンネル内走行時の注意点】

トンネル内で起きやすい玉突き多重事故に巻き込まれないためにトンネル内では車間距離を長くとりましょう。

長い下り坂のトンネル内では気づかぬうちに車間距離が短くなることがあるので、速度計を見ながら速度と車間距離を調整しましょう。

【トンネル出口付近走行時の注意点】

山間部のトンネル出口では横風に煽られることがあります。

横風により走行が不安定になったら、ハンドルをしっかり握り、速度を滑らかにおとして通過するようにしましょう。

水底トンネル及び長大トンネルの場合、危険物輸送車両が通れないトンネルがあります。

トンネルには密室の危険がある

トンネルに入ったとき、出たとき一瞬目が見えなくなります(暗順応、明順応)。

車間距離を保ち、追突をさけましょう。

視野が狭くなり、スピード感がわからなくります。

トンネルの入口、出口は冬に凍っていることがあります。

水底トンネル及び長大トンネルには通行規制のある場合もあります。

車両が横転する原理(メカニズム)

【横転を起こす3つの力】

車両が旋回する時、遠心力が先ず働き、この力によって起きる「車体を倒そうとする力」が「車体を元に戻そうとする力」よりも大きくなった場合、車体が傾いて、重心が車幅の外側に出たときに横転します。

遠心力は「重量が大きいほど」「旋回速度が速いほど」「旋回半径が小さいほど」大きくなる。

特に速度は速度×速度(二乗)の数値で大きくなります。

車体を倒そうとする力は「重心が高いほど」「遠心力が大きいほど」大きくなります。

車体を元に戻そうとする力は「左右のタイヤの間隔(輪距)が大きいほど」「車両と積荷の重心が低いほど」大きくなります。

したがって、荷を積んだときに重心が高くなる車両が高速で急カーブを回ると横転の危険があるのです。

旋回速度、旋回半径、重心位置、道路傾斜が横転に関係しています。

この時に横転の危険が高いのです。

  1. 重心の高さ/高い

  2. 重心安定幅/小さい

  3. 旋回速度/早い

  4. 旋回半径/小さい

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タンクローリーの車両特性と横転

【タンクローリーの車両特性】

  1. 積荷がタンク内で動きやすい流体であること

カーブや交差点で急旋回する時、遠心力によって流体の積荷が旋回外側に片寄ります。

急ブレーキの時は前に、また、急加速の時は後ろに積荷が片寄ります。

  1. 積荷により重心が高くなること

積荷により重心が高くなり、「車体を倒そうとする力」は大きくなります(20㎘積み一軸トレーラの重心高さ例:空車時1245㎜、積車時1845㎜)。

  1. 石油類タンクトレーラーは軽量化などが進んでいる

アルミ製タンク、後輪一軸などによる軽量化が進んでいます。

ABS、エアサス、フロートキャブなどによって運転が楽になっています。

【車両特性と横転事故防止】

上記①②による横転、そして上記③の楽な運転が遠因となる横転を防止しましょう。

タンクローリーはバケツに水を入れて走るのに似ています。

コンクリートミキサー車の車両特性と横転

【ミキサー車の車両特性】

  1. 生コンクリートは比重が大きいこと

生コンクリートの見掛け比重は2. 3であり、最大混合容積が4.5㎥の大型車で約10t、また、2.2㎥の中型車で約5tとなります。

  1. ミキサー車のホイールベース(軸距)が短いこと

同じ積載量の一般トラックに比べるとホイールベースは短いです。

このため、小さい半径で旋回することができます。

逆にいうと急旋回走行になりやすいのです。

  1. 車両構造上、重心が高いこと

ミキサー車は回転ドラム等の架装物を乗せており、更に比重の大きい生コンクリートをほぼ満載するので重心が高くなります。

【車両特性と横転事故防止】

上記①②③による遠心力の増大と横転を防止します。

小回りできることが逆にアダ(仇)となることがあるので注意しましょう。

[特徴]

  1. ホイルベースが短いので旋回半径が小さいです。

  2. 積載時のとき重心が高いです。

  3. 積載時のとき積載率が高く重いです。

トラックやトレーラ、乗用車など、車種に関わらずひとりのドライバーとして安全運転を行いましょう。

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